

ご家庭へのお願い(教育方針)
「音楽が楽しい」を育てる声掛けを
「音楽が楽しい」の先に「もっと難しいことを学びたい」がある
当教室は「音大合格率◯%!」とか「音楽コンクール入賞◯名!」といった定量的な実績を打ち出している教室ではありません。従来のクラシック教育のように、ゴリゴリの技術指導で厳しく管理するのではなく、「音楽を『生涯』愛し続ける能力」に重心を置いています。
教室では、各生徒に合わせて宿題を出しますが、もしご家庭で宿題を嫌がるのであれば、「宿題をきちんとこなす」ことよりも「音楽が大好きで仕方ないという気持ちを育てる」ことを優先した声がけを意識していただけると助かります。
上から「練習しなさい」と言うのではなく、小学生低学年以下であれば、「お母さん(お父さん)と、ピアノで遊ぼうか?」と対等な立場で誘ってみる。中学年以上であれば「お母さん(お父さん)もピアノを練習するから一緒にやろう」とやはり対等な立場で誘ってみる。
大人が何か目標に向かって取り組み、達成していく姿を、家庭内でちゃんと見せるということはとても重要です。
心理学者ジャン・ピアジェが提唱した「ピアジェ効果」と言うものがあります。
「小さい頃に能力を伸ばすことを無理に強制されていた場合、20歳を過ぎるあたりで成長がピタリと止まってしまう現象」のことです。
保護者の皆さんも心当たりがあると思うのですが、小学校に入ったあたりから、学校や家庭で、宿題や勉強を強制され、他者との比較にさらされます。その結果、ほとんどの人が、受験が終わったタイミングで勉強することをやめてしまいます。
このように、他人からの評価や、宿題をやらないと罰を与えられるといった外発的な要素で誘導され続けると、次第に他者の価値観に振り回されるようになり、主体性が低下してしまうのです。
学校教育自体がそういう仕組みになっているので、勉強に関しては仕方のない部分もありますが、音楽でそうなってしまわないように、ご家庭でも意識していただけると、幸いです。
「厳しく指導しないのであれば、技術的向上が見込めないのではないか」と思われる人もいるかもしれません。
当教室にとって、「音楽が大好きで仕方ないという気持ちを育てる」ということは、音楽を演奏する場が、常に安心安全の場で、かつ常に講師が寄り添ってくれる環境を作ることであり、そのような環境が整えば、早い子で小学校高学年あたりから「もっとやりたい!」「もっと難しいこと教えて!」と言ってくるようになります。
人というのは、大人子ども関係なく、他者から強要されたものに対しては拒絶し、自ら求めたものに関しては貪欲に吸収していこうとする性質があります。
この段階に入ったら、ガッツリ技術指導に切り替え、楽しくも厳しいレッスンに突入していきますので、中長期的に温かく見守っていただけると幸いです。
